蝉が一匹、力無くジーと啼いた

そもそもあんな手紙を読まされたことがきっかけだったんです。餓鬼に喰われるなんてそんな馬鹿げた話に乗るからこんなことになったんです。でもそれが雅美さんと私に課された試練なんだと気づいたときには。。。 主な人物 朝比奈雅美・・・私の友人 朝比奈静馬・・・雅美の父 朝比奈重蔵・・・静馬の父

エピローグ

「あ、お父さん帰ってきた〜、おかえり~」
「うん、ただいま」
「あなた、おかえりなさいませ」
「うん。ほら、おみやげ」
「うわぁ、ショートケーキだあ。おっきい、食べていい?」
「ちょっと待ちなさい。お父さんがお帰りになったばかりでしょ」
「ええ! だって~」
「あなた、夕飯になさいます、それともお風呂になさいます」
「そうだな、腹が減ったから飯にするか」
「はい、わかりました、支度しますね。じゃあ、ケーキは夕食を食べてからね」
「はあい。ねえねえ、お父さん、お母さんね、昨日からちゃんと筑前煮作って待ってたんだよ」
「そうか、お母さんのは美味しいからな」
「うん。お父さん、箱根、楽しかったね」
「この子ったら、箱根、箱根って五月蝿くて」
「へえ~、箱根、気に入ったか」
「うん、だって卵は真っ黒だし、湯気がモクモクしててさ」
「それなら、別に箱根じゃなくても・・・」
「だめなの! 箱根がいいの!」
「ねえ、こんな感じなんですよ」
「ハハハ」